こんにちは、傳兵衛です。
今回も自分の話で恥ずかしいのですが、工場の製造課長をやっていた時、本社の取締役に叱られたときの話です。
工場見学に向けて
工場の製造課長になってまだ日が浅い時、会社にとって大切なお客様が工場見学に来られることになりました。
翌日はゴルフだそうで、どちらかと言えばそちらが目的の様ですが、本社からそのお客様を担当する取締役も来られることになりました。
その取締役とは、もちろん親しい間柄ではありませんが、全く知らない訳でもなく、いいところを見せてやろうと、相当気合いが入っていました。
数日前から床のペンキを塗り替えたり、庭の手入れをしたり・・・思いつくありとあらゆる事をしたつもりです。
工場見学当日
さて、当日です。
可能な限りの従業員を動員してお迎えにしました。
工場見学も張り切ってご案内しました。
工場内もゴミひとつなく、直角平行もバッチリで、自分でも「上出来だ」と心の中でガッツポーズをしていました。
工場見学のあと、お客様を見送って職場に戻る廊下で、例の取締役にバッタリ会いました。
「傳兵衛さん、色々準備をありがとう。
上々の出来で、皆さんも満足して帰られたよ。
ただ1点を除けば・・・」
「えっ、何ですか、その1点って?」と聞くと
「トイレの石鹸が汚れてた。」と言うのです。
「確認して来ます。」とお客様が使われたトイレに直行しました。
行って見ると、確かに石鹸が真っ黒でした。
あの頃は、まだ固形石鹸を使っていて、現場の作業者が食事の前にここで手を洗ったのでしょう。
そして、現場のトイレの1つが壊れていたのを知っていました。
直ぐに引き返すと、取締役はわたしが戻って来るのを知っていたかの様にそこで待っていました。
「申し訳ありません、現場のトイレが壊れたので、作業者がお客様が使うトイレで手を洗った様です。
直ぐに現場のトイレは修理し、そしてお客様が工場見学に来られる時は、このトイレを一般作業者が使うことを禁止します。」
と答えました。
すると取締役は、
「おいおい傳兵衛さん、あんたまだ分かってないね。
何で、誰がどのトイレを使っても、汚さない様にしよう、って考えないんだ。
日頃からトイレは綺麗に使うのは当たり前だろう。」
その通りです。後頭部を殴られた気がしました。
そして恥ずかしさが込み上げて来ました。
自分の考えの未熟さを痛感した次第です。
後日談
この取締役からは、この後も役員講話などで何度か色々な話を聞いたことがあります。
しかし話し下手で、何を言っているのか良く分からないこともありました。
でも、このエピソードは今も鮮明に覚えていますし、とても勉強になりました。
今から数年前、ある知り合いを介して、この取締役を食事に誘いました。
相変わらず何を言ってるのか良く分からない会話が続いたので、このエピソードを話しましたが、ご本人は全く覚えていないとの事。
案外、相手に大きな影響を与える一言も、言った本人は気付かないうちに言っていることもあるんですね。
何気ない一言が、相手を傷つけたり、感動させたり、なんか面白いと思いませんか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。