こんにちは、傳兵衛です。
日本人なのに日本語が読めない、そんな悔しい経験はありませんか?
浮世絵や古文書の文字は日本人が書いた文字なのに、現代人の私たちの多くは読めません。たとえ、平仮名で書かれていても・・・
今回は、超入門編として、明治時代の小学校教科書を教材にした、くずし字勉強法をご紹介します。
目次
なぜくずし字に挑戦するか
私は、江戸時代の文化や食べ物、そして江戸っ子の洒落や粋と言われるものに興味があります。
もちろん、それらをまとめた現代書を読めばいいのですが、どうせなら当時の書物を読んでみたい、江戸文化の雰囲気を味わいたいと思いました。
何より、日本人なのに、日本人が書いた文章、それも平仮名が読めないなんて、悔しく思います。
「すまねえ、読んでくんな。おいら字が読めねえんだ。ちくしょう。」
くずし字が難しい理由
これは平仮名だ、と言われても、見たことのない文字には、それだけで抵抗感があります。私が感じた学習のハードルは、
・文字の種類が50文字(五十音表)どころではない
・現代仮名に似ているが、実は別物
この2つです。
それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。
文字の種類が50文字どころではない
私たちが現在使っている仮名は、現代かなづかいと言われ、「同じ発音は同じ文字で書く。一つの文字は常に同じ読み方をすることを原則」としています。一音一文字と言います。「あ」という文字は「あ」としか発音しません。
これが、昭和21年に決められたルール、大原則です。例外はあります。「へ」「は」などです。
このルールに従い、今は使わないけど見たことのある平仮名「ゐ」は「い」に、「ゑ」は「え」に統一されたのです。
しかし、明治33年以前は更に多くの平仮名がありました。
例えば、「あ」については主なものだけでも、次の通りです。
誠心堂書店(seishindo.jimbou.net)「テスト版変体仮名を調べる」から引用しました。
つまり、一つの音でも何種類もの仮名文字があるのです。
これが現代仮名遣いと大きく違う点です。
しかも、字母(じぼ:元になる漢字)に近く複雑な仮名もあり、これをくずしているので、ますますハードルを上げています。
上記例でも、最初の「あ」以外はとても平仮名には見えません。
現代仮名に似ているが、実は別物
これは、私だけのケース、主観的なものかもしれません。
下記の例では、先入観が邪魔して別の文字に見えてしまい、読み違えてしまいます。私には「う」に見えるものが、実は「か」だという例です。
カッコは字母(じぼ)を表し、この場合は「可」です。と言われてみると、確かに「か」ですね。平仮名からではなく、字母となる漢字を先にイメージしないとダメみたいです。
どうやって勉強するか
勉強方法は人それぞれです。試験勉強もその人なりのやり方があるのと同じです。
とは言え、ネットや書籍で調べてみました。
・百人一首をベースに覚える
・現在使われていない仮名の内、使用頻度の高いものから覚える
・明治初期の初等教育用国語の教科書を勉強する
など様々です。
どれも『書いて覚える』ことが大切とされている点は共通です。
私の場合、「百人一首」に接した機会はほとんどなく、「百人一首」にさほど興味はないので、これは外しました。
次の「使用頻度の高い」文字から覚える、は理にかなっています。教材はなんと春画です。
まず使用頻度の高い8文字を覚える、更に8文字を覚える、と言うものです。
原文の横に活字を併記したページや、文章解説のページもあり、よく出来た本です。
ただボリュームがかなりあり、また教材が江戸時代の浮世絵ということもあり、興味はあるのですが、挫折してしまいました。
現在は、「明治初期の初等教育用国語の教科書」を勉強中です。
教材として使っている本は、
小林正博著 これなら読める!くずし字・古文書入門 株式会社潮出版
傳兵衛の場合
この本はシリーズ本で、第1弾、第3弾も同時に購入しました。
第1弾 読めれば楽しい!古文書入門
第3弾 書ければ読める!くずし字・古文書入門
しかし、
第1弾 読めれば楽しい・・・は、タイトル通り、読めれば楽しいでしょうが、「日本美術のガイドブック」と記述がある通り、漢字まじりの古文書が教材で、中級以上の教材です。古文書に触れて、ゴールを定めるにはいいかも知れません。
第3弾 書ければ読める・・・は、漢字の学習、「読み・書き」を繰り返すことを古文書解読学習に取り入れたものです。現代の小学校で習う漢字約千字と、江戸時代の平仮名約百字、その他の漢字と合わせ千二百五十字を学習する教材です。従って、現代の小学校で習うものと言いながらも漢字が大部分で、そのくずし字を見ると、私など腰が引けてしまいます。
そこで、第2弾 これなら読める・・・から、スタートすることにしました。
この本の特徴は、古文書読解の教材の多くが、近世(江戸時代)のものに対して、明治初期の初等教育用国語の教科書を教材に使っている点です。
本書の「はじめに」にも、「今の日本語の文章にも近いし、断絶された近世人と現代人の識字の橋渡しをしてくれる」とあります。
詳細は本書に譲りますが、参考までに目次の大項目を記載します。
I ひらがな 出典『小學入門』
II 絵入り単語 出典『単語綴字圖』
Ⅲ 絵入り文章 出典『連語圖解』
Ⅳ 初等入門 出典『小學連語圖』
Ⅴ 初等教養 出典『童蒙初學』
付録 くずし字漢字練習帳
特にII、Ⅲの『絵入り』の絵が、楽しく、とても興味深いものです。
まとめ
昔の教科書を使って、くずし字を勉強する入門書を紹介しました。
本書は、初めてくずし字に挑戦する人が、勉強を続け、読解力を高め、くずし字が読めたというモチベーションにつながり、更に挑戦していくと確信します。
ただ、6歳(?)の柔軟な頭に対し、60歳台の硬化した頭では、記憶力が違います。
ポイント
どの様にして、学習したくずし字を記憶に留めるか?
→ 眺めるだけでなく、書いて、文章を声に出して読むこと
ザルとなった記憶力を受け入れ、何度忘れても過度に嘆いたり、投げ出したりしない
読めた嬉しさをモチベーションに変え、継続すること
どんな勉強でも、どうやって継続するかが60歳以上の勉強のポイントだと思います。
くずし字とは直接関係ありませんが、「社会人のための必ず続く勉強法」という本を紹介した関連記事も参考にしてください。