こんにちは、傳兵衛です。
この受信機ATS-20をAmazonで見つけた時は、その性能はともかく、大きさと外見で購入を決めてしまいました。
しかし、その性能も現在手元にある中華ラジオ TECSUN S-880 と聴き比べても、劣るものではありません。
今回は、このおもちゃの様な受信機 ATS-20をレポートします。
尚、わたしのATS-20のファームウェアのバージョンはV1.1.5 で最新のものではありません。
目次
はじめに
なぜわたしがこの受信機を購入したかは、前述の通り、まずその大きさです。
正に手のひらサイズの受信機なのです。
手のひらサイズのラジオではありません。中波帯(MW)も外部アンテナをつながないと受信出来ません。
大きさを実感していただくために、マウスと比較するとこんな感じです。
それとデザイン性をあまり重視していない外見です。
これは主観的感想で、異論もあると思いますが、軍用無線機の様なデザインより機能重視(?)のスタイルがわたしは気に入りました。
特徴
ユーザーズマニュアルは英文のものが付いていました。
わたしの英語力のレベルは低いのですが、難しい英語ではなかったのと、Google翻訳の力を借りて、和訳しました。
多少意訳になっている部分もあります。ご了承ください。
・オールバンド受信機(LW, MW, SW, FM)
・高性能復調チップの採用で、高感度、高安定性、高信頼性を実現
・大容量充電式リチウムバッテリーを採用
・LCDディスプレーを採用
・大型スピーカーを採用
・高品質なメタルケース
操作SWと機能
ユーザーズマニュアルに従い、各操作スイッチの名称と機能を説明します。
操作SWは見ていただければ、その機能も想像がつくと思いますが、念のため説明します。
まずは、正面パネルです。
中央の「キーボード」と表示されている部分のスイッチ類を表にまとめました。
色々いじっているうちに、機能は理解出来ると思います。
ただ、ATS(オートサーチ機能)は、使い方が分かりません。受信可能な局をサーチする機能で間違いないと思いますが、同調ダイヤルを押しても、変化がありません。
ここで、受信バンドの切り替えについて、述べます。
どんな受信機も、放送バンドやアマチュア無線のバンド切り替えスイッチがあると思います。
この受信機も同じですが、バンド数が少し多い様な気がします。
これは、ユーザーズマニュアルの表ですが、SW帯だけでも、17+1=18帯域に別れています。
SW帯は1.8 MHz から30MHzまで連続カバーしますが、細かく受信バンドを切り替える必要があります。
理由は、早送り機能などなく、最大のステップ数が10KHzだからだと思います。
SW帯の受信バンドについて、AmazonのATS-20のページに情報が出ていたので、それを参考に、上記表に手を加えました。
便宜上わたしが名付けた「代表周波数」というのは、「BAND+」または「BAND - 」ボタンを押すたびにLCGディスプレーに表示される周波数のことです。
その右側の「バンド幅」というのが、その「代表周波数」で受信可能な帯域の下限と上限です。
例えば、周波数が下限に達し、さらに周波数を下方に送ろうとすると、上限の周波数に戻ってしまいます。
またステップ数はディフォルトのステップ数です。
アマチュア無線バンドは1KHzがディフォルトになっていますが、このステップ数は変更すれば、そのステップ数が新たに記憶されます。
先にバンド数を17 + 1と書いたのは、代表周波数30,000KHzはSW帯の全帯域(1.8MHZ 〜 30MHz)を連続してカバーします。
これも先述の通り、ステップ数が最大10KHzなので、延々と同調ダイヤルを回さなければならず、同調に時間がかかり、実用的ではありません。
背面はこんな感じです。
USB端子は、mini USB2.0 Type-B でケーブルが付属しています。
ここから充電します。
充電ランプは、ユーザーズマニュアルによれば、充電中は赤色、充電が完了すると緑色になります。
アンテナ端子はBNCで、BNC端子が付いたロッドアンテナが付属品として付いてきます。
FM/AM切替SWは、通常AMにしておいても、FM放送帯を受信する時は、勝手にFMに切り替わる様です。
実際に受信してみる
ユーザーズマニュアルに従って、実際の放送を受信して見ます。
FM放送
この受信機を使って、FM放送をメインに受信する人はいないのではないか、と思います。
もし、音質重視で音楽を聴くなら、その為のラジオやレシーバーの方がいいでしょう。
しかし、受信周波数は76MHz〜108MHzなので、日本国内でも中波帯AM放送のFM補完放送も含め、問題なく受信できます。
おまけで付いているFM放送帯では決してありません。
下の写真は、FM放送受信時のLDC画面です。
2段目のStはステップ数を表しますが、FM放送受信時はステップ数は100KHzに固定で、表示とは異なります。変更も出来ません。
最下段の39は音量のレベルを表します。
その横の S:1 は信号のレベル(Sメーター?)かも知れませんが不明です。今までS:1からS:3まで変化したことがあります。
今更ですが、ユーザーズマニュアルを和訳します。
- FMアンテナを接続する
- 背面のFM/AM切替スイッチをFMにする
- 電源スイッチをONにする
- LCDスクリーンに文字が現れるので、しばらく待つ
- 画面左上に FM と表示されるまで、”BAND+"または"BAND- "ボタンを押す
- 同調ダイヤルを回して選局する
- ”VOL+"または"VOL- "ボタンを使って、音量の調整を行う
ATS(オートサーチ機能)は使い方が分からないので割愛します。
AM放送
わたしの手元にあるATS-20のファームウェアのバージョンは、V1.1.5ですが、このバージョンの欠点は、中波帯のステップ数が9KHzに対応していないことです。
ファームウェアをバージョンアップすると、中波帯ステップ数9KHzに対応する様です。
勉強して、バージョンアップしたら、その方法を紹介したいと思います。
同様に、ユーザーズマニュアルを和訳します。
- AMアンテナを接続する
- 背面のFM/AM切替スイッチをAMにする
- 電源スイッチをONにする
- LCDスクリーンに文字が現れるので、しばらく待つ
- 画面左上に AM, LSB または USB と表示されるまで、”BAND+"または"BAND- "ボタンを押す
- 画面左上に AM と表示されるまで"MODE"ボタンを押す
- 目的の放送の周波数に近い周波数(仮称代表周波数)が表示されるまで、”BAND+"または"BAND- "ボタンを押す
- "STEP"ボタンを押して、希望のステップ数を選択する
- 同調ダイヤルを回して選局する
- ”VOL+"または"VOL- "ボタンを使って、音量の調整を行う
- 必要があれば”BW”ボタンを使って帯域幅を、”AGC"ボタンを使って AGC/ATTを調整し、最良の受信状態にする
ユーザーズマニュアルを和訳するとこうなりますが、実際は割愛できるステップもあります。
BFO
下の写真は、"MODE"スイッチを使って、LSBモードにした状態です。
この状態で、同調ダイヤルを「押す」と、周波数のところが 「>周波数<」の様に表示され、BFO調整モードに入ったことが分かります。
BFOの使い方に付いても、ユーザーズマニュアルに記述があるので、紹介します。
- ”MODE"スイッチを押して、LSBモードまたはUSBモードにします
- 同調ダイヤルを使って選局します
- 同調ダイヤルを押して、BFO調整モード( >周波数< の状態)にします
- "STEP"ボタンを押して、ステップ数(10Hz または 25Hz)を選択します
- 同調ダイヤルを回して、周波数を微調整します
- 音質や音量を調整します
中華ラジオとの比較
わたしは性能比較のための測定器など持っていませんので、あくまでも個人の耳による比較になります。
いま手元にある中華ラジオは、TECSUN S-8800 です。
そのS-8800 と ATS-20 を同じ条件にして聴き比べてみました。
アンテナは外部アンテナとして、5mのロングワイヤーをつなぎ替えて比較しました。
ミミSメーターなので、説得力にかけますが、どちらも同じレベルです。
ノイズや選択度も同じレベルです。
これは、MW、SW、FM帯でも同じです。ただLW帯は受信・比較していません。
もともとS-8800と比べて、少し感度の落ちるSDR受信機がありますが、SDR受信機では放送があるのが分かる程度の弱い信号も、ATS-20ではS-8800同様に音声が浮き上がって来ます。
この性能で、1万円以下で購入出来るBCL受信機ですので、おすすめの1品だと思います。
デメリット
最大のデメリットは、中波帯(MW)のステップ数に9KHzがないことです。
まず、ステップ10KHzで近くの周波数まで近づけ、ステップ数を1KHzに切り替え、同調しなくてはなりません。
しかし、これは先述の通り、ファームフェアのバージョンアップで対応可能だそうです。
次のデメリットは、コンパクトの裏返しで、操作性が悪い事です。
例えば、電源スイッチが裏にある上に、切り替えが非常に硬いので、慣れるまでは、ひっくり返してスイッチのON/OFFを確認してしまいます。
高機能なアマチュア無線ハンディー機に比べれば操作は単純ですが、慣れる必要があります。
また、バンド帯の選択も、慣れが必要です。
先述の通り、細かく分かれているので、仮称代表周波数だけでは、判断出来ない場合があります。
1度目的のバンド帯を通り越して、仮称代表周波数を確認し、また戻る、という操作が必要かもしれません。
わたしの使い方
わたしのBCLスタイルは、信号の弱い超DX局を狙うというものではありません。
どちらかと言うと、いつも決まった放送局を受信する、と言うものです。
そこで、このコストパフォーマンスの非常にいいATS-20を、ある放送局専用機にしています。
わたしの場合、タイ駐在中ということもあり、ラジオタイランド日本語放送専用機です。
ラジオタイランドは、日本向けの放送のためか、強力に受信出来る日と、信号が弱い日があります。
そこで、そこそこの性能と、専用機にしてもいいくらいの低価格のこの受信機は、わたしのBCLスタイルにぴったりです。
まだ試していませんが、このコンパクトな筐体を武器に、屋外での受信にも向いているでしょう。
ざひ今度、屋外での遠征受信に試してみたいです。
注意点
今回のブログを書くにあたり、ネットを調べましたが、ファームフェアのバージョンは同じでも、筐体やツマミが少し違うものがあります。
それどころか、値段の違いによってか、付属品にも違いがある様です。(USBケーブル、ユーザーズマニュアルがない)
わたしが購入したものは、本体の他に、ロッドアンテナ、USBケーブル、ユーザーズマニュアルが同梱されていました。(マウスは比較のためで含まれません)
梱包状態はこんな感じです。
この受信機は、ブラジル人?の Ricardo Lima Caratti (PU2CLR) さんが開発して、中国メーカが製品化したそうなので、その為、製造・販売元によって少し違いがあるのかも知れません。
もし購入される場合は、よく確認することをおすすめします。
参考までに、Ricardo Lima Caratti (PU2CLR) さんのホームページへのリンクはこちらから。
おわりに
いかがでしたか。
このATS-20は万人におすすめの受信機ではないかもしれませんが、ご自分のBCLスタイルや用途を考えれば、選択肢の上位に位置する受信機になると思います。
この情報がみなさんのお役に立てれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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